2万分の3
先日、京都大学の 山中伸弥教授の講演会に行ってきました。
今をときめく再生医療の旗手有楽町マリオンの朝日ホールは 満員で立ち見の人もいました。 端正で、クール、平易な語り口でいとも簡単に遺伝子を突き止めていったプロセスを話されるのですが、「研究に幸運があった」事も事実でしょうが、幸運を呼び込んだ必然も納得される人柄でした。
2万個の、どれもとっても難しそうでヒエログリム並に読みにくそうな設計図から、5年近くをかけて、求める設計図わずか3枚を発見。
その他の多くの設計図は「作り方」が書いてあるけれど、山中さんが発見した3枚には その分解の仕方、再び使える形にして元の素材に戻す、その「戻し方」が書いてあるらしいのです。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)という、皮膚、肝臓、心臓、神経とさまざまに分化しうる万能細胞を作ることに成功した、京都大学の山中信弥教授の研究は ざっと 以上のようなことらしい。
ES細胞という胚細胞から作る万能細胞は良く知られているが、受精卵が必要なES細胞でなく、分化した皮膚細胞の核に 山中さん達が発見した3つの遺伝子を入れて働かせると、初期化して未分化な万能細胞(iPS細胞)ができる。
「再生医療のエース」山中信弥教授の講演会を 3月21日有楽町の朝日ホールで、聞いてきました。3月最高の収穫でした。とても精密で厳格な研究をしていると思うのですが、その語り口は シャープでソフト。 驚くほど分りやすくて、本当に基本的なことを 大局観を持って、突き進んだら、あっけなく正門が開いた、という感じの話しぶりでした。
またえらぶるところもなく、他の大学の先生方の研究も適切に踏まえ、紹介しながら、ご自身の研究室の若手研究員の取り組みを評価し、讃えているのも気持ち良く、すごい人物だなと感じ入りました。
京都大学が iSP細胞研究センターを作ったり、文部科学省が 山中教授の研究に、特別予算を組んだりする理由が 良く分かりました。 もちろん再生医療の最先端で、医薬関連の知的財産、さまざまな特許の埋もれる山を 日本が世界に先駆けて抑えることができる重要性は計り知れないですが、なにより この人に任せようという信頼感が山中教授の真摯で誠実な人柄に あふれていました。
京都大学を中心に 慶応大学や理科学研究所など主要医学機関のネットを構築し、再生医療の可能性に向けて分野ごとの分担制で 研究開発に取り組んでいるとのことでした。
ハーバード大学やカリフォルニア大学がこの分野に振り向ける予算規模とは それでも大きな開きがあるそうですが、この分野で日本発の研究成果をぜひ 物にしてほしいと思いました。
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